された外洋域での、微細な生物および非生物懸濁粒子の表層から深層までの数の分布の例を図−2に紹介する。植物プランクトンなどの光合成を行う生物の指標であるクロロフィルやそれらの分解物を餌とするバクテリアなどが表層に多いのは当然であるが、ウイルスも表層に多い。これに対して大型コロイド(サブミクロン粒子)や微細コロイドはそれぞれに特徴ある鉛直分布を示している。これらの非生物有機粒子の鉛直分布が、海域によってあるいは季節的にどのように変化するかについての詳細なデータはほとんど得られていない。しかしこれらの粒子がどのようにして作られまた運ばれるかが、その鉛直分布と密接に関係していると考えられ興味深い。
3. 様々な大きさの生物起源の有機物粒子はどのような特性を持つか?
マリンスノーが植物・動物プランクトンの死骸や多くの起源を持つ有機物の混ざりあったものであることはすでに紹介したが、マリンスノーの特徴で古くから気がつかれていたことは、これが極めて壊れやすいことであった。そしてこの壊れやすさがこれまでのマリンスノー研究の大きな障害になっていた。マリンスノーを壊さずに集めるためには、ダイバーがガラスの筒の中にそっと取って船上に持ち帰るか、ダイバーが潜れないような深い水深では潜水艇でダイバーがやるのと同じように取るしかなく、普通の採水器ではたとえ中に入っても採水する際に壊れてしまう。これはマリンスノーが、色々な大きさの有機デトリクスや微生物が極めて弱い粘着力でお互いについて出来ているからである。さらに生物などに比べて体積あたりに水を含む割合が極めて高いのも、マリンスノーのもう1つの特徴である。植物プランクトンなどの含水量は約90%であるが、マリンスノーでは99%にもなることが報告されている。従って比重が海水に近いため、沈降するには大きな塊である必要があるわけである。
我々によって発見された大きさが1ミクロン以下の微小な有機コロイド粒子“サブミクロン粒子”の特性を調べた結果、このマリンスノーと似たような特性を持っていることがわかったのは大変な驚きであった。すなわちこれらの微細有機粒子は同じくらいの大きさを持つバク
図−2 北部太平洋における微細生物群集と微小非生物粒子の鉛直分布
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